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Return to #21 - "Becoming Atom" - Humanoid Robots

(アサヒドットコム 2003年4月7日 より)   ( Kanji Link GeneratorPassword Required )

アトムになりたい 「人型ロボット」ぐんぐん進化

鉄腕アトムへのあこがれが、多くの科学者誕生につながり、日本のロボット産業を世界一に押し上げた。ヒューマノイド(人型)ロボットの研究も進み、いまでは2本の足で歩き、人間の言葉や動きを理解して簡単な会話ができる。人と共に暮らし、生活を支えるロボットの誕生は現実味を帯びつつある。

「我々の世代のロボット関係者は、アトムか鉄人28号にあこがれた人たちばかり。私は、人の心を持つアトムをつくりたかった」。ソニーのロボット事業責任者の天貝佐登史さん(48)は大学時代、ロボットの頭脳、人工知能の研究をした。ペット型ロボット「アイボ」を事業化し、人間型ロボット「SDR」シリーズも担当する。

 海外企業でほとんど事例がない人型ロボットの開発だが、日本では大企業から、個人の研究者まで幅広い。「アトムをつくれ」と言えば、共通認識を持てる。そのことが、日本で開発を盛んにしたと研究者らは口をそろえる。

アトムはいつ?

人型ロボットの多くは、人の命令や操作で動くのではなく、自ら判断して動く「自律型」を目指す。開発の焦点は、人間とのスムーズな会話や滑らかな動作だ。

階段を上り下りできるホンダの最新ロボット「アシモ」は、特定の人物の身ぶり手ぶりを認識し、近づいて話しかけたり、後を歩いたりできる。今後、物を取ってきたり、植物に水をやったりできる「ライフ・アシスタント」に成長させ、「一家に一台」が目標。開発担当の坂上義秋・主任研究員は「アトムを30年で実現したい」という。

「アイボ」でロボットを身近にしたソニー。最新型ロボットは「SDR−4X2」。踊って歌う愛嬌(あいきょう)が売り物だが、最も進化した点は、どんな格好で倒れても「受け身」で衝撃をやわらげ、自ら立ち上がれる機能だ。平衡感覚を制御する内部センサーで倒れる向きなどを感知。100分の1秒以内という速さで判断し、手をつく。

開発担当の石田健蔵さんは73年、世界初の人型ロボット「ワボット−1」をつくった早大の研究室の一員。長く産業用ロボットを担当したが、97年に志願して新規事業の開発担当になり、上司の確約を得る前から人型ロボットの開発を始めた。

開発者たちの合言葉は「役に立たないものをつくれ」。玩具のような面白さ作りに徹し、人をなごませる存在にするという思いを込める。「人と見まがうロボットに、あと50年でかなり近づける」と石田さんは言う。

一方、ロボットによるサッカー競技「ロボカップ」を97年から主催する公立はこだて未来大学の松原仁教授(人工知能)は「人型ロボット開発は、アトムがゴールなら、まだ1合目」と厳しい。 事業化がかぎ

事実、人型ロボットの本格的な事業化は、まだ遠い。開発費が高額で、販売価格が跳ね上がりかねないからだ。アシモの企業向け年間レンタル費用は、1台約2千万円。01年度は7社、02年度は5社の契約があったが、「利益を出すビジネスではない」(広報室)。ソニーも02年度中にもSDRを売り出す計画があったが、見送った。土井利忠上席常務は「商品として出せるところまで来たが、価格は高級外国車並みだ」という。

技術面も課題は多い。人型ロボットには、現在、パソコン用の半導体・CPU(中央演算処理装置)が使われている。ロボット専用CPUを開発するメーカーはない。また、動作を制御するソフトウエアも、ロボット製造側が自力で改良を重ねているのが現状だ。ソニーのSDRには、CPUが三つついているが、本来コンピューター用だ。

それでも人とカネをかけて開発するのは、将来の事業の柱になる可能性があるからだ。「パソコン市場を超える21世紀の新しい産業になる」との期待がある。事業化が見えてくれば、技術の進歩も飛躍的に速まる。技術のすそ野が広い分、「量産できたら、日本のあらゆる産業が活性化する」(松原教授)可能性も秘める。

人間の感情を理解し、自らも顔や身ぶりで感情を表現する技術も必要だ。柔らかな動作の実現には、人工の皮膚や筋肉のような素材の開発も求められる。人工筋肉は、ゴムや導電性ポリマーを使った研究が進行中だ。人間と同じような発声ができるようにするため、人工声帯の研究もある。

これらの開発は、医療面で生かせる可能性がある。現状でも、人の指示や動きを理解するための技術は、カーナビなどと共有されている。

21世紀に引き継がれたアトムの夢は、モノづくりニッポンの再生につながるかもしれない、壮大な夢でもある。

アサヒドットコム(2003年4月7日)

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