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Return to #2 "Murakami Haruki, worries concerning first novel in 7 years."

(日経エンターテイメント 2002年10月号より)   ( Kanji Link GeneratorPassword Required )

村上春樹 の久しぶりの書き下ろし長編小説『海辺のカフカ』(新潮社 )が上下巻で9月12日に発売となる。99年の『スプートニクの恋人』を中編小説とするなら、95年の『ねじまき鳥クロニクル』第3部以来、7年ぶりの長編小説だ。

村上春樹といえば純文学ではナンバーワンの人気作家だ。デビュー当時から読み続けている30~40歳代の固定ファンだけで15万部は見込めると言われ、久々の長編発表は出版会の大きな話題だ。

新潮社ではあえて内容は伏せて、チラシ とホームページで情報を小出しにしてファンの期待感を高める戦略をとった。

7~8月に刊行された新潮社の単行本や文庫には「村上春樹最新長編9月刊行」と記した5種類の小さなチラシがはさまれ、それぞれに「15歳の話らしい」「四国の話らしい」と作品内容を暗示するキーワードが記されている。

専用の公式ホームページには、今回の作品に関する唯一の村上本人のインタビューを掲載していくほか、読者からの感想・質問に対する村上の返事も公開される。

こうした前あおりの効果もあって、書店での予約状況は好調だ。bk1 などネット書店の予約ランキングでも1位となった。

発売前に明らかになっているあらすじは以下の通りだ。

「15歳の誕生日、少年は夜行バスに乗り、家を出た。一方、猫探しの老人・ナカタさんも、何かに引き寄せられるように西へと向かう。暴力と喪失の影の谷を抜け、世界と世界が結び合わされるはずの場所を求めて」

村上版「オイディプス王」か

実際に作品を読むと「15歳」の少年が主人公であることがポイントになっている。近年の村上は日本の社会、事件に対する関心が高い。地下鉄サリン事件 の被害者をインタビューした『アンダーグラウンド』や、阪神大震災 をキーワードにした連作短編小説集『神の子どもたちはみな踊る』など、最近の作品ではより現実との関わりを強めようという姿勢がみてとれる。

そして今回の「15歳」というキーワードからは「酒鬼薔薇聖斗」事件 以降増え続ける凶悪な少年犯罪に対する彼の意見や、現代の少年たちへの励ましのメッセージが伝わってくる。

さらに『海辺のカフカ』には、父親殺しや近親相姦を想起させるくだりがある。これは作品中でもふれられているギリシャ悲劇の名作『オイディプス王』に通じるテーマだ。つまり『海辺のカフカ』は村上版『オイディプス王』ではないのか。その解釈をめぐっては、今後文壇やファンの間で様々な論議が起こり、大きな話題を呼ぶことになるだろう。

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