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Return to #13 - "Bowlingual"

(毎日新聞12月13日より)   ( Kanji Link GeneratorPassword Required )

犬語翻訳機「バウリンガル」体験記   はたして人は犬語を理解できるか?

犬と話ができたら――。そんな夢の実現の第一歩となる「犬語翻訳機」バウリンガルが、玩具メーカーのタカラから発売され、国内ばかりか、海外でも話題になっている。米タイム誌の02年最優秀発明品の1つに選ばれ、ノーベル賞のパロディ版として知られる米ハーバード大学関連の「イグ・ノーベル賞」も受賞した。日本が世界に誇る発明とはどんなものか、試してみた。(藤枝 克治)

「コリャ!おこってるんだぞ」の表示に納得

バウリンガルは、犬が吠える声を、首輪につけたマイクを通して飼い主の手元にあるトランシーバー型受信機で解析。犬の感情を日本語に翻訳する機械だ。

まずは、社内で犬好きで知られるA編集委員の愛犬、柴犬の「三四郎」で実験することに。11月某日、神奈川県鶴見川の河川敷に出かける。向こうからダックスフンドがやってきた。気性の荒い三四郎が「ワン、ワン」と吠えかかる。手元の受信機を見る。「コリャ!おこってるんだぞ」の表示。まさにその通り。

続いてパピオンとすれ違う。また、吠えだした。表示は「なんだか気に入らないな」。なるほど。だが、A編集委員は「怒っていることぐらい、見りゃわかる」。

この日は怒ってばかりなので、帰宅して作戦変更。家族で三四郎を無視する意地悪を実行してもらう。家族4人が居間でテレビを見ながら、三四郎が近寄って来てもわざと知らんぷり。家の中ではめったに吠えない三四郎が「クイーン、クイーン」と声を出し始めた。表示は「いっぱい遊びたいの」。なるほど上出来である。

精度は8~9割、改良の余地もまだまだ

続いて、東急二子玉川駅近くにある「にこたまペットパーク」(東京都世田谷区)に協力をお願いした。ここは犬や猫との触れ合いをテーマにした動物園。園内にある「いぬたま」には30種類100匹の犬がいる。

元気のよいビーグルにセットすると、「キャン、キャン」と吠える。犬を飼ったことがない私には、怒っているのか、喜んでいるのか区別が付かない。表示を見ると「ほらほらワタシをみて!」。そうだったのか。生意気そうな犬の顔が急にかわいく見えるから不思議だ。

さらに、コーギーやラブラドールレトリバーなどでも実験。人慣れした犬のせいか、遊んで欲しいという内容の言葉が表示されることが多いが、合間に「かかってこい」「イライラする」なども表示されてやや戸惑う。また、「ワタシってイケてる?」「ファイトいっぱつ!」など日本語が意味不明なものもあって、解釈に困ることも結構あった。

同園を運営するペットエージェンシーの大久保亘課長は、精度について「8~9割ぐらいは当たっている」と評価する。ただし「複数の感情が混ざり合って吠える場合には、分析が難しいようだ」。

人間の声を“犬語”に翻訳する機械も

バウリンガルは、犬の鳴き声を「楽しい」「悲しい」「威嚇」「要求」「フラストレーション」「自己表現」の6種類に分類している。表示する日本語は200種類と多いが、犬の声をどれかに分類した後は、用意された日本語が適当に表示される仕組みだ。

鳴き声の分析を担ったのは日本音響研究所(東京都渋谷区)の鈴木松美氏。人間の声紋分析が専門だが、犬の声は近くの代々木公園で犬の散歩に来ている人などに協力を依頼。国内で人気がある約50犬種について2年かけて分析した。 次は、人間の声を犬語に翻訳する機械を検討中という。鈴木氏は「こちらの方が簡単」と話す。日本語の音声認識さえできれば、録音した犬の声を再生すればよいからだ。

犬との双方向の会話がもうすぐ実現するかも知れない。しかし、大久保さんは「人と犬は主従関係が基本。それをはっきりさせることが大切だ」と指摘する。最近、ペットを可愛がりすぎて、わがままな犬が増えているという。人間が犬語をしゃべり始めたらどうなるのか。ちょっと心配だ。

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